すべての人民をいつまでも騙し通すことはできない Part 2
「すべての人民をいつまでも騙し通すことはできない。」という言葉を、私はこのひとり言のコーナーで2017年7月と2018年3月に紹介、書きました。この言葉は、米興行師フィニアス・テイラー・バーナムが言ったとされているようですが、アメリカ16代大統領のエイブラハム・リンカーンが言ったとも言われています。
2017年7月頃は森友、加計問題が世間を賑わし、2018年には財務省による文書改ざんが発覚しました。そしてその後も「桜を見る会」問題も発覚、現在は総務省による接待問題などに繋がっています。
今更ですが、憲法15条2項に「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者でない」とあります。「公務員」は「全体」の奉仕者であり、「一部」の奉仕者ではないのです。つまり、特定の企業や個人である「一部」の者のみを対象とした「奉仕」は許されず、こうした行いは「憲法」に違反するわけです。
行政書士という仕事柄、許可申請や各種届出の際に、私は日常公務員の方と接します。
例えば、私が、ある許可申請の手続きを依頼され、お客様を代理して申請したとして、法律に基づく許可要件を備えない申請であれば、それは「不許可」になるわけです。当然です。そこで、この申請は「特定の団体」からのものであるから本来は「不許可」だけど「許可」にします、あるいは「お金」をもっと支払えば「許可」にします、という扱いをしたらどうでしょうか。そんなアンフェアな、不公平な扱いは許されないはずです。
また、許認可によっては、役所の担当者が、直接会社などの申請者の営業所などを検査することがあり、過去に私も何度もその立会を行ってきました。その際、会社が役所の担当者にお茶や、場合によってはコーヒーを来客対応として出すケースがあります。そのままお茶やコーヒーを飲む担当者もいますが、私が見たケースで多いのは、そのお茶やコーヒーに一切口をつけないという方です。私も個人的には、お茶やコーヒーの一杯位で何も心を動かされ、手心をよくすることもないだろうから、飲めばいいのにと思うのですが、ほとんどの公務員の方は本当に真面目なのです。
いわんや、役所の外で公務員が、利害関係者と会い、それも夜の飲食まで付き合うというのは、私のこれまでの感覚からすると本当にあり得ない話なのです。
確かに昔からこの日本では、何か困ったときに市議会議員を始めとした、そうした一定の「顔が利く」人に頼むという噂をよく耳にしたことがあります。それが、今や「首相」「大臣」「国会議員」に直接頼むということなのでしょうか。しかし、それは「法」治社会ではなく、「人」治社会であり、カネや権力のみが幅をきかす「カネ権力」治社会と言わざるを得ません。公務員が「一部」の者のみを対象とした「奉仕」を行う社会です。
「記憶にございません」とは、私が中高生くらいのときに聞いたロッキード事件の証人喚問の際に、証人が連発した言葉です。おそらく証人側の弁護士が悪知恵として授けた偽証罪逃れの苦し紛れの逃げ口上です。一般的に「虚偽の陳述」とは「自己の主観的記憶に反すること」だとされており、「記憶にございません」とさえ述べておけば、偽証罪に問われる可能性が少ないからです。そのような無責任極まりない発言を繰り返し、許していることに、この数十年日本が何も変わらず、ますます「一部」の者のみが得をする社会になってしまっていると感じてしまいます。
それでも今「すべての人民をいつまでも騙し通すことはできない。」と言い続けなければならいのでしょうね。