読まずに死ねるか?⑤~「死はこわくない」(立花隆著、文藝春秋社)
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年末年始NHKのBS番組で、立花隆氏の晩年の密着取材の特集を見ました。そこで氏は、自分が死んだら、ゴミとして捨てて欲しい、葬式は必要ない、また膨大な書籍、資料も処分して欲しいと親族などに伝えるのですが、その生き方、考え方に驚きました。
その考え方を著書にしたものを先日図書館で借りてきました。「死はこわくない」(写真、文藝春秋社)です。この本の中で氏は、「人は死ねばゴミになる」(伊藤栄樹著、小学館文庫)を引用し、「ゴミとして処分されるというのが理想の葬られ方なんですね。」(同書P68)という質問に対して、「いえ、もっといいのは『コンポスト葬』です。遺体を他の材料と混ぜ、発酵させるなどコンポスト(堆肥)にして畑に撒くのです。」と答えています(同書、P68)。つまり、「生命の大いなる環の中に入っていく感じがいい。」(同書P70)からだというのです。
もともと氏は、物や本を捨てることに異議を唱えていた方なので、この番組を見るまで、氏がこのような考え方を晩年していたことについても、知らなかったのですが、確かに人間存在もこの壮大な宇宙のほんのわずかな一部だとしたら氏の言う「コンポスト葬」にもうなずけます。
実際には氏の遺骨の一部は樹木の下に埋葬されたと番組では放送していました。また、膨大な書籍、資料は、古本屋などに処分され、書籍や資料のあった通称ネコビルは、空っぽになっているところが放送されました。少し寂しい感じがしましたが、これも氏の遺志。
「死」とは何か、普段考えず、避けている話題ですが、全ての人には必ず「死」がやってくるわけで、考える機会となる本だと言えます。