コロナ5類移行について感じること
5月8日からは、3年間続いた新型コロナも5類へ移行、インフルエンザ並みの扱いに変わり、社会経済生活も正常化へ復帰しつつあるように感じます。
このコロナについては、それぞれ個人によって考え方、感じ方が異なると思います。私は、コロナ発生初期にあったウィルスを「正しく恐れる」というスタンスが社会から消え、マスクの過剰な着用に見られる、感染対策とは無関係な同調社会の弊害が目立ったように感じています。
最近このコロナ5類移行に関する専門家の人びとの興味深い新聞記事が出ています。専門家でもこれだけ意見の違いがあるのか、というのが率直な感想です。
例えば、5月17日付朝日新聞の「コロナ5類 専門家たちの葛藤①」では、大阪大特任教授の大竹文雄さんは、すでに昨年1月25日の政府の分科会で「もう行動制限の根拠はない」という主張をされています。この方は、大阪大感染症総合教育研究拠点特任教授、行動経済学が専門で、政府の新型コロナ対策分科会委員。また、藤沢市民病院副院長で救急医学などが専門で、厚労省にコロナ対策を助言するアドバイザリーボード一員の阿南英明さんは、昨年6月中旬に新型コロナを通常医療へ戻していく問題提起を行ったようです。80回ほどの提言変更を加えるうち第7波が起こり、発表の時期がずれ、結果的に5類移行が遅れてしまった、とのこと。「オミクロン株が主流になった昨年以降、元気で働いていた人が続々と亡くなるということはなくなったのです。」と述べ、「5類移行の時期は、結果的に遅かったと思います。」と述べています。
ところが、5月24日付朝日新聞の「コロナ5類 専門家たちの葛藤②」では、あの8割接触減提言の京都大の西浦博さんは、「5類移行の政府判断」は「政策的な判断として尊重」するとしつつ「5類移行は、科学ではなく、空気感で決まりました。」と不満げな様子。「5類に移行したら、これくらいの被害が出る」という政府の説明責任がないとも。「被害」という表現が、2020年の頃に人びとに恐怖を与えたこの方特有の表現らしいですね。
つまり、我々国民は、専門家でも多様な意見のある中で、この3年のコロナを経験してきたわけです。従って、正解がない中で、前へ進むしかなく、これはこのようなパンデミックへの対処以外の社会経済問題への対処と同じだと考えます。方針を決定し、行動する。これは、最終的には政府の責任です。
ともあれ、新型コロナは実質的に「新型」ではなく、通常の医療で診療してもらえる病気の「扱い」になったわけです。私のような素人の表現では「ただの風邪」になったわけです。これまでのような「熱が出れば医者に診てもらえない」、いわゆる「発熱難民」を生む医療ではなく、「熱が出れば医者に診てもらえる」普通の医療体制になったわけです。当たり前のことですね。私もこの5類移行は遅すぎたと感じています。